大きな情報発信プラットフォームとなったYouTubeでは、「〇〇系YouTube」とジャンル分けが行われるほど多種多様なコンテンツであふれている。そのうちの「学び」の情報を発信しているのが「教育系YouTube」であり、学生や社会人が新たな知識を得るためにYouTubeを開くということは珍しくない。

 教育系YouTubeチャンネル『予備校のノリで学ぶ「大学の数学・物理」』(以下、『ヨビノリ』)では、主に大学の授業や大学受験で学ぶ理系科目についての解説が行われている。『ヨビノリ』の顔・たくみは、本当に授業を受けているような感覚が画面越しでも伝わるよう、教え方について細部までこだわっており、そのなかでも学習に使用するデバイスは「画面は大きければ大きいほどいい」と話す。

 今回、Samasungの新製品である折りたたみスマホ『Galaxy Z Fold5』とともにスマホで勉強をする時代だからこその学習方法や、タブレットGalaxy Tab S9』シリーズ、スマートウォッチGalaxy Watch6』シリーズを使用した自身の体験からくるデジタルデバイスの重要性について聞いた。

使用した製品はこちら

Galaxy Z Fold5』https://www.samsung.com/jp/smartphones/galaxy-z-fold5/

Galaxy Tab S9』シリーズ

https://www.samsung.com/jp/tablets/galaxy-tab-s/galaxy-tab-s9-ultra-wi-fi-graphite-512gb-sm-x910nzaexjp/

Galaxy Watch6』シリーズ

https://www.samsung.com/jp/watches/galaxy-watch/galaxy-watch6-40mm-gold-bluetooth-sm-r930nzeaxjp/

視聴者が見たいのは“勉強が報われるシーン” 教育系YouTubeが確立した理由

ーー『ヨビノリ』は6年前のまだ教育系YouTubeというジャンルが存在しなかった時代に開設していますがどのような経緯で立ち上がったのですか?

たくみ:大学生のときからずっと「理系の大学生に対しても受験生が受けられる授業みたいにわかりやすいものがあったらいいのに」という思いがあり、何か発信できる場があればと探していたときに、そのとき流行っていたYouTubeだったら見られるのではないかというところから投稿を始めました。

 そのときのYouTubeの広告は「好きなことで、生きていく」というもの。ヒカキンさんやはじめしゃちょーさんなど、いまのトップYouTuberの方々がグイグイきていて、エンタメ系の動画が多い状況でした。教育系YouTuberの方もいましたが、目立っていたのは3、4人くらいで、そのなかには登録者が1000人くらいの方もいましたね。

ーーそのような状況で視聴される見立てはあったのでしょうか?

たくみ:何万回再生になる動画は想定しておらず、単純計算で理系の勉強で困っている学生が数千人はいるかなというところで、その人たちに認知して見てもらえればいいかなというスタンスでしたね。

ーーそこから教育系YouTubeが確立するまではどのような流れだったのでしょう。

たくみ:始めて2、3年くらい経ったときに、YouTubeが次のフェーズに突入したんです。エンタメ系以外でも、様々なジャンルの興味を深堀できる動画が求められるようになり、料理やガジェットなど、何かを教える人たちがたくさん集まり始めて、そのなかに勉強を教えるという人も含まれていました。そこで教育系YouTubeという言葉が誕生したんだと思います。

ーー教育系YouTubeのなかには、コンテンツの投稿に注力する方と、たとえばQuizKnockさんのようにキャラクターを出してYouTuberとしての側面を出していく方とに分かれている印象がありますが、たくみさんはその両方のバランスがしっかり取れていると感じます。

たくみ:情報だけを知りたい視聴者はキャラクターを出されることを求めていないので、教育系YouTubeチャンネルでは個を消す方が多いと思います。なので学習に特化したコンテンツとYouTuberを両立している人は少なく、僕は珍しいスタイルだと思いますね。

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ーー『ヨビノリ』も当初は学習に特化したコンテンツを投稿していく方針だったと思いますが、YouTuber的な要素が加わったきっかけなどはあったのでしょうか。

たくみ:他チャンネルとのコラボが大きいですね。それこそいまから5年くらい前にテレビなどで「東大ブーム」がきて。「賢いコンテンツを見たい」という需要が増えたんですよね。その流れがYouTubeにもきて、コラボが増えていったきっかけになりました。情報発信だけをしている教育系YouTubeではあまりないことだったので、そのスタートになれたとは思っています。

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ーーたしかに、東大生のような日本のトップクラスの頭のいい方達の思考を覗き見たい! という欲求が視聴者にはずっとありますよね。

たくみ:それこそQuizKnockが「楽しいから始まる学び」がテーマなように、「賢いことって面白いんだ」ということに視聴者の方は気づいていったんだと思います。あとはこれまでは勉強で活躍しても学校や受験でしか評価されなかったり、報われるシーンがなかなか表に出ることがなかったりしたんです。そんななか、知識の集大成を使って輝いている人たちをYouTubeで目の当たりにして、感化された人は多いと思います。

折りたたみスマホ『Galaxy Z Fold5』の「マルチウィンドウ」が実現した本当に授業を受けているような感覚

ーーでは、ここからは『Galaxy Z Fold5』を使用して実際に勉強をしている学生の気持ちになって『ヨビノリ』を見ていただきたいと思います。

たくみ:折りたたみスマホを使うのは初めてだったので、本当に曲げていいのかという罪悪感がありました(笑)。でも、慣れるとこの開閉が心地よくなってきます。自分のチャンネルも見ましたが、率直にめちゃくちゃ見やすい。画面が広いのは正義だなと思いました。

 『ヨビノリ』は、どれだけ画面が小さくても板書が見れるように作っているのですが、やはり大きい画面で見ていただきたいという思いはあります。僕自身もスマホを選ぶときにはなるべく画面が大きいものを選択しています。

ーーたしかに全画面だと、細かな板書でもよりクリアに見えますね。折りたたみスマホの特徴として、大画面をコンパクトに折りたたんで持ち運べるというところがまずあげられますが、学習におけるメリットはどんなことが考えられますか?

たくみ:いまは机に向かってしっかり環境を整えて集中すること以外でも、移動時間などの隙間時間で勉強する学生がすごく多いんです。電車やバスなどもそうですが、この前飛行機で『ヨビノリ』をスマホで見ている若い人がいて、いまの学生たちは、隙間時間をうまく使って勉強することが当たり前になっていると思うので、スマホでしっかり勉強ができることの価値は高いですね。

ーー『Galaxy Z Fold5』には大画面を分割することができる「マルチウィンドウ」という機能があります。この機能を活用した学習方法はどうでしょうか。

たくみ:最近『ヨビノリ』で始めた「コース機能」の動画に添付してあるPDFを活用してほしいですね。マルチウィンドウで2画面にして動画とPDFを並べて学習するといったような形です。勉強において、テキストの情報量に動画はやはり勝てない。だからYouTubeで何かを教えるにあたって、動画を見ながら別の資料も一緒に見て学んで欲しいという需要は多いんです。イメージとしては教科書を置いて、授業を受けている感覚に近づけたい。

ーー2画面に分割できるスマホだからできることですよね。1画面しか表示できないスマホであれば、YouTubeとPDFを開いているブラウザやアプリを切り替える手間がかかる。その場合PDFを印刷するか、別デバイスで表示するかなどになりますね。

たくみ:そうですね。このコース機能は、日本ではまだ一部のクリエイターにしか提供されておらず、今後どんどん普及していくと思います。PDFはスマホ以外に何かしらの画面を用意すれば見ることができますが、この『Galaxy Z Fold5』ではそれが1つのデバイスで叶えられる。大画面じゃないとできないことですよね。

ーー実際にご自身のコース機能を視聴者目線で見てみていかがでしたか?

たくみ:PDFがしっかり見えて安心しました。今後スマホを活用して勉強していく人は増えていくと思いますし、しっかり見せてくれるデバイスが出てきてほしいなと思っていたので、今回このデバイスで確認できてよかったです。

ーーマルチウィンドウは最大3画面まで表示可能です。さらに画面が分割できるとなると、どんなことができると思いますか?

たくみ:たとえば動画やPDFを開きながら、わからない単語を調べるなどができると思います。やはり動画を止めることなく、知らないことを調べられるのは嬉しいなと。大学生のリアルな授業では、スマホで何かを調べながら受講することが当たり前だと思うんです。自分たちの動画もリアルな授業に近づけていきたいので、それが体験できるのはいいなと。

「本当に理解したいと思ったら書かないとわからない」 学生にとって書くことの重要性

ーーワイドでかつ軽量なタブレットGalaxy Tab S9』シリーズも発売されました。タブレットについてはこれまで使用していた経験はありますか?

たくみタブレットは学生時代から使っていました。当時はまだ使っている人は少なかったのですが、研究室のときは読まなくてはならない資料が多すぎて、自分の本棚では限界があり、タブレット書類を電子化する必要があったんです。

 とくに論文を読む人は便利だと思います。論文は、保管するとなると物凄い量になるんですよ。紙だと段ボール3箱分くらいになる人とかもいましたし、その量を管理するとなると大変なんです。あとは当時論文にいろいろと書き込んで情報を整理していたのですが、紙だとどこに何を書いたかがわからなくなる。タブレットで電子的に管理すると、書き込みも楽だし、記録が残るので忘れることもないんです。論文に関わる人にはマストなアイテムだと思いますね。

ーー学生はノートPCを使う人が多いと思いますが、ノートPCではなく、タブレットで授業を受けるとどんなメリットがあるのでしょう。

たくみノートPCだと板書がとれません。勉強の書き込みって言葉だけでは表現できないこともありますよね。たとえば矢印を引っ張ってメモするなどは、キーボードではなく、やはりペンで書きたい。また、学生時代からの経験で、本当に理解したいと思ったら書かないとわからないと思っています。書かないと頭に入ってこないですし、書くと頭が整理されます。『ヨビノリ』も書く人が見ている前提なので、自分が映らない板書だけの時間を作ったり、板書を書くときも見やすいように半身で書いたりしているんです。

ーー書くことにこだわりがあるたくみさんですが、『Galaxy Tab S9 Ultra』に付属している「Sペン」の書き心地はどうでしたか?

たくみ:自分の字の太さまで表現してくれていた(筆圧検知機能)ので驚きました。タブレットで文字を書くと、自分がいつも書いているフォントが変わってしまうという印象だったのですが、しっかりと表現されていて、手書きみたいに書くことができました。

ーー『Galaxy Z Fold5』でもSペンが活用できると思います。専用ケースにはコンパクトに収納できる場所もあり、持ち運びにも便利になりました。

たくみ:これまでタブレットを使ってきたなかで、ペンの収納場所に困っていたんですよね。3、4回無くしていますし、そこがもったいないなと思っていました。これだったら無くさないし最高ですね。

ーー授業に使えるデバイスが増え、利便性も上がったことで、いまの学生のデバイスの活用方法にも新たな使い方が生まれていそうだと感じます。

たくみ:いまの学生は動画学習をするときに、板書をスクショスクリーンショット)してその画像にいろいろと書き込むらしいんです。これまではあまりない感覚でしたが、今後「スマホに書き込む」という行為が学生たちの間で増えていくのであれば、たとえば空欄を作って穴埋めにして自分で書き込めるような板書にするなど、スクショありきの動画を作ってもいいかなと思いましたね。

ーーGalaxy製品同士だと瞬時に写真やファイルを共有できる「クイック共有」という機能もありますし、家で使うもの、授業に持っていくものとデバイスを分けて活用することもできそうです。

たくみタブレットでがっつり書き込んだものをスマホでもすぐに読めるというのは便利ですよね。電車のなかだとタブレットよりもスマホのほうが開きやすいので、ファイルを共有して、タブレットは家や学校で使って、持ち運びで確認するときはポケットに入るようなスマホで、という風に使い分けたいですね。

学びにおいて重要な“睡眠と健康” スマートウォッチを着けると「毎日健康診断をしているよう」

ーー今回発売された『Galaxy Watch6』シリーズは睡眠機能に特化しています。総睡眠時間、睡眠サイクル、覚醒時間、身体的・精神的な回復時間などを分析して、毎朝フィードバックもしてくれるんです。

たくみ:いまはスマートウォッチを使用していないので、睡眠を観測すること自体が久しぶりだったのですが、信じられないぐらい測定できていました。過去に一度使用したときはまだ測定がかなり曖昧だったので、デバイスへの信頼度が高くなく、やめてしまったのですが、スマホに限らずスマートウォッチも凄いスピードで進化しているのだなと実感しましたね。

ーー久しぶりにスマートウォッチを使用したなかで、何か生活に変化はありましたか?

たくみ:着けることによって健康を意識しようという気持ちになりました。たとえば体重計も同じで、家になければ体重や体脂肪率を意識しないですよね。自分の感覚だけで増えたな、減ったなと思うだけで時が経っていく。スマートウォッチも同じで、着けることで、睡眠や健康を初めて意識するんだなと思いました。感覚としては毎日健康診断をしているような気持ちです(笑)。僕も健康を意識しなければならない年齢になってきたので、測られていると思ったら意識するきっかけになるんだなと。

ーー睡眠は脳との関係性も深く、学びとは切っても切り離せない存在かと思います。たくみさんご自身は睡眠についてどのように捉えているのでしょう。

たくみ:次の日にたくさん覚えたことを話さなければならないという講演会があるんですが、自分のポリシーとしてカンニングペーパーを見たくないという思いがあるんです。なので数日に分けて情報を頭に入れる作業が発生し、睡眠が足りていないと情報を引き出すのが遅くなっている感覚はあります。だからこそ睡眠の重要性は身を以て体験しているので、スマートウォッチで管理していきたいと思いましたね。

ーー学生にも同じことがいえそうですね。たとえば受験などにも大切かと。

たくみ睡眠の重要性は受験業界でも古くからうたわれており、合否の鍵を握っていると思います。そのなかで自分がどれくらい寝られているのか、寝られていないのかの判断をデバイスで直感的に、スマートに確認できるのはいいことですよね。受験は長い戦いになるので、その間自然に計測できることは重要なのかと。

ーーありがとうございます。いまでは当たり前のように使用しているデジタル製品も、学びということに紐づけると新たな視点が生まれて大変勉強になりました。では最後に、YouTubeを6年間続けてきて、今後も「理系の理系離れを防ぐ」学びを伝えていくというコンセプトは変わらないと思いますが、今後新しく挑戦してみたいことを教えてください。

たくみ:いままでハイリスクでやってこなかったことで、今後挑戦してみたいのが、長尺の動画を上げていくことです。実はいま『ヨビノリ』のなかで再生回数が多いのは2時間超えの動画ばかりなんです。2000万回以上再生されている「中学数学からはじめる相対性理論」も2時間超えの動画です。

中学数学からはじめる相対性理論

 3年ほど前にTikTokなどからきたショート動画の流行があり、それによって10分以上の動画は伸びないという傾向があったのですが、いまは少し変わってきていて視聴者自身も長尺の動画を求めるようになってきたんだと思います。

ーーYouTubeにも「ショート」という機能が加わったことで、長尺、短尺で求められるものが変わってたタイミングなのかもしれないですね。

たくみ:ショート動画は流れてくるものを無意識に見るという傾向が強く、反対にそれ以上の動画に関してはみんな自分で探しにいかなければならないようになりました。いまはコンテンツが多すぎて、探しにいく、検索をするという行為に対してかなりストレスを感じると思うんです。自分が見たいと思うコンテンツを頑張ってやっと見つけたのに情報量が10分しかなかった場合、埋められなかった部分のために違う動画を探さなければならない。その手間を省くために、2時間でも1本で完結していて、情報量が詰まっている長い動画も求められていくのだと思います。

ヨビノリたくみ(写真=はぎひさこ)