CS放送「衛星劇場」が、2023年11月は『堀川波の鼓』(ほりかわなみのつづみ)(2022年7月)と『松竹梅湯島掛額』(しょうちくばいゆしまのかけがく)(2021年10月)をテレビ初放送することを発表した。
『堀川波の鼓』は大阪・松竹座「七月大歌舞伎」で上演された近松門左衛門作の世話物。夫が江戸詰めのため不在で恋しく思っている妻が、酒に酔って鼓の師匠を夫と錯覚し関係を結んでしまったことから起こる悲劇で、片岡仁左衛門が夫の小倉彦九郎、中村扇雀が妻のお種を勤めた舞台。
『堀川波の鼓』(ほりかわなみのつづみ) (C)松竹株式会社
ここは京都堀川。小倉彦九郎は、殿の参勤交代に付き添い、隔年の江戸詰めを余儀なくされていた。そんな離れている時間の多い夫を妻お種はとても恋しく思っている。お種は、実の弟文六にこのほど鼓を習わせていた。彦九郎が不在のなか、お種は鼓の師匠である宮地源右衛門とふとしたきっかけで関係を結んでしまう。その噂が広く知れ渡ってしまい、彦九郎の妹おゆらや、お種の妹お藤らがなんとかしようとお種のために腐心するがうまくいかず、結局お種は自害を考える。最後は一目彦九郎に会ってからと帰りを待ち、命を絶ってしまう。彦九郎は愛おしい妻に羽織を着せかけ、忍び泣くのだった。
『松竹梅湯島掛額』は、前半の「吉祥院お土砂の場」では「紅長」の名で知られる紅屋長兵衛(尾上菊五郎)が、叶わぬ恋を嘆く八百屋の娘・お七(尾上右近)のために奮闘し、笑いを誘う。後半の「四ツ木戸火の見櫓の場」はシリアスな状況となり、恋する吉三郎のため、お七が命を懸けて櫓の太鼓を打つ「櫓のお七」で知られる演目。
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