実家を掃除している際、邪魔をしてくる存在の筆頭といえば懐かしのノートたち。幼少期の落書きや自作の漫画、かつて学習した計算式などが記されたノートはあまりにもエモい存在で、思わず掃除の手を止めて見入ってしまう。

現在X上では、ハードオフ店舗にて発見された「エモすぎるノート」が話題となっているのをご存知だろうか。

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■通常の20倍するジャンク品…?

今回注目したいのは、レトロゲームを愛好するXユーザー・8bitさんが投稿した1件のポスト。

「運命の出会い」と綴られた投稿には、ハードオフ店頭にて撮影された「キャンパスノート」の写真が添えられている。「ジャンク品」とのことだが2,200円(税込)と、通常のキャンパスノートの20倍もする割高価格。「ただのノートが何故、こんなに高いのだろう」と首を傾げつつ、値札をよく見ると…。

ハードオフジャンク品

そこには「スーパーファミコンを攻略したノート」なる、魅力的な品名が記されていたのだ。

 

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■「貴重な史料」と話題に

「動作確認」の項目には「主にRPGを扱っているようです」との記載が。インターネットによる情報網が存在せず、ゲームの「攻略本」を愛好していたスーパーファミコン(以下、SFC)世代からすると、好奇心がとんでもなく刺激される逸品である。

件のポストは投稿から数日足らずで4,500件以上ものリポストを記録し、他のXユーザーからは「現代の宝の地図だ…」「店員の私物とか?」「文化人類史の貴重な史料ですね」「これ売りに行こうと思うのもすごいし、買い取ろうと判断するハードオフやばい」「中身がめっちゃ気になる」「これ売れるのかよ」など、驚きの声が相次いでいた。

こちらのノートの購入者にして話題のポスト投稿主・8bitさんに話を聞いたところ、同商品は北海道の「ハードオフ岩見沢店」にて発見したものと判明。

ハードオフジャンク品

そこで今回は、ハードオフを運営する「株式会社ハードオフコーポレーション」を経由し、買取・販売に関する詳しい話を尋ねてみることに。その結果、ハードオフの「崇高な理念」が改めて明らかになったのだ。

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■このノート、ツッコミどころが多すぎる…

自身のYouTubeチャンネルにて福袋開封やゲーム動画の配信を行っている8bitさん。6日には、今回のノートの気になる中身を動画にて公開している。

ノートには『ファイナルファンタジーVI』の攻略マップ&データ集など、SFCソフトに関する付属品が同梱されていた。

そして気になる中身はというと、手書きのパスワードやマップなどのデータがズラリ。しかし、ファミコンソフト全1,053本をコンプリートした8bitさんがノート内の情報を解析したところ、『ウルティマ 聖者への道』『聖闘士星矢 黄金伝説』といった具合に、いずれもSFCではなく「ファミコンのソフト」に関する記述であると判明したのだ。

さらには元の持ち主の旅行日程と思われるメモ書きも発見され、正直なところ「スーパーファミコンを攻略した」とは言い難いノートであった。

 

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■ハードオフの「理念」に改めて感動

スーパーファミコンを攻略した(?)ノート」買取時の様子について、ハードオフ担当者は「お持ち込み頂いた商品の中に箱・取説付きのレトロゲーム機が複数個あり、その中に手書き攻略本を含む、当時のチラシやハガキなどがございました」と振り返る。

続けて「当店では基本的にはお客様に手ぶらで帰って頂くことを前提にしておりますので、手書き攻略本を含め、お纏めして買取させて頂きました」と、店舗としてのスタンスを語ってくれたのだ。

こうした買取のケースはハードオフ全体を見ても珍しいようで、担当者は「品物の買取は基本的に店舗ごとの判断で行っていますが、他店舗でも実際に商品化までに至るケースは少ないと思います」とも説明している。

ハードオフジャンク品

販売に至った経緯について、担当者は「ノートに記載された情報量や正確性に関しては、精査しておりません」と前置き。

その上で「ただ、一見して何の攻略を行っていたか、どれほどの熱量で取り組んでいたかが読み取れる内容でした。その価値を損なうことなく販売したいと思い、ジャンク品として本来のノートの使い方はできない、既に記入された商品『スーパーファミコンを攻略したノート』という品名で販売させて頂きました」と、語ってくれた。

なお、商品化に関しては店長の趣向に依る部分が大きいようで、担当者は「価格や品名を含め、尖った商品だと思います。店長が学生時代にプレイしていた『ウルティマ』の情報などが記載されており、そうした内容が品名に結びついたのではないでしょうか」と推測。それが事実ならばこの店長、完全にノリノリである

取材の終わり際、担当者から「今回買取させて頂きましたが、ご不要になった物には価値が無くなったわけではございません」「次代に使って頂く、必要な価値をお客様に見出して頂くのが、当社ジャンク品の本質と考えております。今後も様々なお客様にリユース商品を繋げていけるよう、努めさせて頂きます」とのコメントが得られたのが印象的であった。

あまりにパンチの効いた、正に前代未聞の商品(と値段)を受け、疑問の声も若干数上がっていた今回の一件。しかし、物の価値は「全ての人にとって平等ではない」という点を肝に銘じておきたい。

実際、件のノートの2,200円という価格を「高い」と感じる人がいる一方で、ノートを購入した8bitさんは「運命の出会い」「販売してくれて感謝」と、大満足の様子。

ハードオフジャンク品

たとえ世間的に、多くの人々から「不要な物」と認識されようが、価値を見出した人物が1人でもいれば、その物品は確かに「価値ある物」として存在するのだ。

ハードオフは世間の価値観と照らし合わせ、物品を安易に「ゴミ」と判断して処分などせず、ユーザーとの出会いの場を提供してくれる、一種の聖域である。今回のノートの買取・販売は、ハードオフのそうした理念の象徴とも言えるだろう。

 

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■執筆者プロフィール

秋山はじめ:1989年生まれ。『Sirabee』編集部取材担当サブデスク

新卒入社した三菱電機グループのIT企業で営業職を経験の後、ブラックすぎる編集プロダクションに入社。生と死の狭間で唯一無二のライティングスキルを会得し、退職後は未払い残業代に利息を乗せて回収に成功。以降はSirabee編集部にて、その企画力と機動力を活かして邁進中。

X(旧・ツイッター)を中心にSNSでバズった投稿に関する深掘り取材記事を、年間400件以上担当。ドン・キホーテハードオフに対する造詣が深く、地元・埼玉(浦和)や、蒲田などのローカルネタにも精通。

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