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 4月4日サイコムの新BTOパソコン「Lepton Hydro」シリーズの販売が始まった。同社の代名詞とも言える「G-Master Hydro」シリーズと同様、CPUとGPUを独自に水冷化している「デュアル水冷」仕様のワークステーションだ。ゲームやクリエイティブ用途はもちろん、AI開発のような高負荷なワークロードを得意とする。

 また、ファンは静音駆動で定評があるNoctua製で統一。そういう意味では、同社の超静音PC「Silent-Master」シリーズのコンセプトも混ざったハイブリッドな新シリーズと言える。そんなLepton Hydroシリーズは3モデルあるが、本稿ではインテルCoreプロセッサー(第14世代)に対応する「Lepton Hydro WSZ790」をレビューする。

デュアル水冷&静音ファンのワークステーション

 CPUクーラーはAsetek製の簡易水冷クーラー「624S-M2」に、Noctua製の静音ファン「NF-F12 PWM」(120mm)を2基搭載。ビデオカードは「GeForce RTX 4080 SUPER」に、Asetek製の簡易水冷クーラー「Hybrid GFX 240 LCS」と、Noctua製の静音ファン「NF-A12x25 ULN」を2基装着している。

 この強力な独自のデュアル水冷構成で、CPUとGPUをしっかり冷却しながら、高負荷時の静音化も見込める。ワークステーションらしいタフな用途では、特に恩恵を受けやすい構成だろう。また、近年のトレンドであるAI開発にも活用しやすいよう、Ubuntu OSでの動作検証を実施している点も本シリーズのユニークな特徴となる。

 なお、標準構成のOSはWindows 11 Proだが、今回の試用機材はWindows 11 Homeがインストールされていた。大きくレビュー内容が変わることはないが、ご留意いただきたい。

ミドルタワーPCケース「P20CE」を採用
3面ダストフィルターでメンテナンスしやすい

 Lepton Hydro WSZ790PCケースは、Antecのミドルタワーモデル「P20CE」。本体サイズは約220(W)×469(D)×490(H)mmと小さくはないが、ワークステーションとしては手頃な大きさと言っていい。

 外観は前面カバーのデザインがユニークだが、配色はブラックとグレーで落ち着いている印象だ。メンテナンス性の高さも特徴で、前面・天面・底面にダストフィルターを用意。すべてのダストフィルターはドライバーなどのツールなしで簡単に外せる。

 ワークステーションは1日あたりの稼働時間が長くなりがちだ。長期に渡って運用するには、パフォーマンスを維持するための定期的な清掃が欠かせない。その点、P20CEの設計は非常にシンプルかつ手軽で好感が持てる。

 天面のダストフィルターマグネット式なので簡単に取り外せた。ここをふさいでしまうと排気が滞り、PCケース内のエアフローを阻害してしまうため、物を上に置かないようにしよう。

 ダストフィルターは底面の電源ユニット下部にもある。こちらはスライド式で、本体背面下部から引き出してメンテナンスできる。

 なお、側面パネルは左右ともスチールの1枚板だが、BTOオプションで騒音・振動吸収シート(+2860円)を追加できる。自動車などでも採用例がある、アスファルトを特殊加工した防振シートで、PCケースのビビリ音低減に効果的とのこと。静音性を高めたい人は覚えておいてほしいカスタムメニューだ。

USBポートは合計13基とリッチな仕様
有線LANは2.5GbEでWi-Fi 6Eにも対応

 Lepton Hydro WSZ790のフロントインターフェースは天面の前方付近にある。2基のUSB Type-A(USB 3.0)のほか、USB Type-C(USB 3.2 Gen 2)にヘッドフォン出力、マイク入力を備える。

 リアインターフェースはUSB Type-Aは9基(USB 3.2 Gen 2が1基、USB 3.2 Gen 1が8基)と豊富で、USB Type-C(USB 3.2 Gen 2x2)まで搭載。フロント側と合わせれば、USBは合計13ポートもあるので、動画配信マシンとしても余裕で活用できるだろう。

 通信機能は有線LANが2.5GbEと高速で、Wi-Fi 6Eに対応する無線LANまで備える。映像出力はビデオカード側がHDMIとDisplayPort×3のオーソドックスな4系統。ハイエンドPCとして申しぶんない構成だ。

水冷仕様のRTX 4080 SUPERはインパクト大だが
徹底した裏配線で内部は意外なほどすっきり

 内部を見てみると、独自に水冷化した巨大なビデオカードが目を引く。GPUGeForce RTX 4080 SUPERのためこのサイズ感なわけだが、ケーブルの裏配線がきれいなためか、圧迫感はさほどない。

 ドライブベイは背面側に用意。前面下部に3.5インチまで対応するシャドウベイが2基、マザーボードの裏に2.5インチ専用シャドウベイを2基備える。将来的にSSDの増設などを検討している方は覚えておこう。

240mmラジエーター2基とNoctuaファン6基で
なるべく静かに強力冷却する構え

 CPUクーラーのラジエーターは天面、GPUクーラーのラジエーターは前面に装着。エアフローは前面吸気、天面・背面排気となる。とにかくファンが多く、ハイエンワークステーションらしい贅沢な構成と言える。

 CPU・GPUクーラーのラジエーターサイズはいずれも240mmで、ファンはサイコムではおなじみのNoctua製の120mmモデルを採用。CPU側が「NF-F12 PWM」で、GPU側が「NF-A12x25 ULN」となる。

 PCケースファンもNoctua製で、前面に「NF-A12x25 LS-PWM」、背面に「NF-A12x25 PWM」を搭載。いずれも静音性と風量のバランスに優れ、サイコムの品質に対する強いこだわりが表れている。

 また、水冷クーラーのベースはいずれも高品質なオールインワン水冷ユニットで知られるAsetek製。CPU側は「624S-M2」の水冷ヘッドをカスタマイズしたもの。GPU側は「Hybrid GFX 240 LCS」を組み込んだオリジナル品となる。

 なお、PC自作だとビデオカードをカスタムした場合、当然ながら保証は失効するわけだが、Lepton Hydro WSZ790はBTOパソコンだ。故障した場合はもちろん保証が受けられる(1年間は無償保証、初期不良は30日)。そこも隠れたメリットの1つと言える。

 今回は外観と内部にフォーカスしたが、次回は性能面を中心にレビューする。発熱や静音性にも迫る。

■関連サイト

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