現役引退を発表した宇野。14日に会見が行われる予定だ(C)Getty Images

 フィギュアスケート宇野昌磨選手が5月9日、自身のSNSで現役引退を発表しました。

「このたび、現役選手を引退する決断を致しました。5歳の時にスケートと出会い、21年間続ける事ができ、素晴らしい競技生活を送れたことに、とても感謝しております」

 そう綴り、競技者としての人生に終止符を打つことを公表したのです。

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 宇野選手の力強く、気高いスケーティングに勇気をもらった人々は全国各地にたくさんいます。その中でも、宇野選手が生まれたとき、900グラムの「超低出生体重児」だったことから、赤ちゃんが同じような状況で生まれてきた家族の方々へ、希望の光を与え続けたことは特筆に値するでしょう。

 2018年の平昌五輪銀メダルを獲得した後には、故郷の名古屋市内の病院へ下記のような電報を送ったことがSNS上で話題になりました。

「はじめまして、宇野昌磨です。子育てに頑張っている皆様へ」

「知人から僕と同じように産まれた子が集まる会が有ると聞き、どうしても応援をしたく電報を送る事にしました」

「21年前900gで小さく産まれた僕がここまで来れたのも、両親の諦めない前向きな愛情があったおかげです。成長の何もかもが遅く両親は心配ばかりしていました。言葉が遅くても小さい頃の事は少し覚えています」

「皆さんのお子様も小さく産まれた事をハンデに思わず、個性として成長を楽しんで下さい。子供たちは記憶に残るのが母の笑顔だと嬉しいと思います」

「産まれた時は生きてさえいればと言われた僕も今ではアスリートとして成長しています。お子様の未来の可能性を応援しています」

平昌オリンピックメダリスト 宇野昌磨

 実体験に基づく、体温が感じられる人間味あふれる言葉の数々。子育ての不安を抱く人々にとって、宇野選手のメッセージがどれだけ励みになったかは、想像に難くありません。

 スポーツ紙のデスクは言います。

「競技者としては引退となりますが、表現者としての宇野選手は今後、さらに活躍のフィールドを広げることになるでしょう。宇野選手が頑張れば頑張るほど、『超低出生体重児』の親御さんは胸を熱くして、明日への希望を抱くことになる。そういう意味では『引退』というよりも、『新たな出発』という方が正しいのかもしれません」

 さらなる活躍に、期待せずにはいられません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

「900gで小さく産まれた僕が…」宇野昌磨、乗り越えて掴んだ栄光のキャリア 発信して与え続けた勇気と希望