新学期が始まって1カ月。ゴールデンウィークも終わり、そろそろ新しい生活に慣れてきた頃ではないだろうか。環境が変われば人間関係も少しずつ変化するもの。今回紹介するのは、都会の大学に入学した幼なじみカップルのすれ違いを描いたこちらの作品。今年、進学した人も、そうでない人も、ぜひ読んでもだもだ、きゅんきゅんしてほしい。

【漫画】「春色と恋わずらい」を読む

Xやpixivで自身の描いた漫画を公開している漫画家の藤沼みすず(@fujinuma_m)さん。現在までに漫画アプリ・GANMA!で「訛音まじりと、かげひなた」や「しかくいアナタをまるくして」を連載。今回はSNSで拡散され話題となった「春色と恋わずらい」をご紹介!

大学進学で都会に上京してきた幼なじみカップルの茉千(まち)と祥太郎(しょうたろう)。今まで当たり前のように隣にいすぎて気づかなかったけど、実は祥太郎はめちゃめちゃイケメンだったみたい!?大学ではとたんに周囲の憧れの的に。

そんな祥太郎の彼女として、自分も見合う存在にならなければ…内心焦った茉千は、「脱・芋」を目指して健気に自分磨きに奮闘する。

けれど、どんどんかわいくなっていく茉千に対して、何やら祥太郎は言いたいことがありそうな雰囲気。少しずつ2人の間に距離が生まれていく。

作者の藤沼みすずさんに、作品を描くことになったきっかけやこだわりなどを聞いた。

――SNSでの投稿を始められたきっかけ、その理由を教えていただけますか?

「子どものころから絵を描くのが好きだったのですが、絵を描く仕事についてほかに詳しく知らなかったので、身近だった漫画という分野にぼんやりと惹かれていきました。SNSは作品の宣伝用に始めました」

――「春色と恋わずらい」を描こうと思われたきっかけや、執筆時にこだわったポイントを教えてください。

「とにかく顔のいいキャラクターが描けたら楽しいかな、と思い立ち、もうすぐ春という時期に差し掛かっていたこともあり、新大学生のお話になりました。もともと画力が不安定な人間なので、とにかく顔をよく…顔をよく…と念じながら作画を行いました」

――特に思い入れのあるシーンとその理由を教えてください。

「祥太郎が茉千を抱き寄せる場面は担当の編集さんに助言をいただいてできたシーンなんですが、この場面があることで作品全体の恋愛漫画度がググッと上がっている気がしていて…。ご教示いただけてよかったな〜と思っています」

――SNSでの反響を受けて、どう感じられましたか?

「こんなことになると思ってもみなかったので純粋に驚きました。宣伝があまり得意ではないので、すごく有り難かったです。そして同時に、自分の技術力以上のリアクションに単純に怖いと感じてしまいました(笑)。根がだいぶ臆病なので…」

――執筆される際、こだわっているポイントや込められている想いを教えてください。

「こだわりというほどではないのですが、私自身、人のダメなところを『人間らしいな』『かわいらしいな』と思って好むタイプなので『キャラクターの完璧じゃないところも愛らしいと思ってもらえたらいいな〜』と思って描くことが多いかもしれません。前作の『しかくいアナタをまるくして』は、そういうところがけっこう顕著に出ているかもしれないですね」

――どんな方に作品を届けたいですか。

「どんな方にでも観てもらえたらうれしいです…!当たり前のことを言っている気がしますけども(笑)。自分がおもしろいなと思ったものを届けられるように頑張るので、それを同じように『いいな』と思ってくれる人が1人でも多くいてくれたら、それ以上幸せなことはないなと思います。どこで何をしてるどんな人でも、うれしいなって思います」

――記事を読む方に向けてメッセージをお願いします。

「ここまで読んでくださってありがとうございます!今後も細々と描いていけたらと思うので、またお目にかかれたらうれしいです」

現在はGANMA!にて「やいちくんは嫉妬(カラメル)体質」を連載中!こちらも同じく幼なじみの2人が主人公のラブコメだ。恋愛がよくわからない女子高生小岩井あんずが、ずっと一緒にいすぎてもはや家族のような存在の弥一に突然告白され、お試しで付き合うことになってしまう…!続きはぜひGANMA!でチェックしてほしい。

取材協力:藤沼みすず(@fujinuma_m)、GANMA!編集部

「春色と恋わずらい」より。小さなもやもやが積み重なって大きな不安に…思わず涙する茉千/(C)藤沼みすず/COMICSMART INC.