弁護士ドットコムはこのほど、弁護士を対象とした、民事裁判手続きのIT化が与える影響に関する調査の結果を発表しました。調査期間は2020年7月17~31日、有効回答は182人。


「民事裁判IT化」のメリット、デメリットとは?—弁護士を対象に調査

民事裁判手続きのIT化の賛否を聞くと、「賛成」は58.2%、「懸念はあるが、おおむね賛成」は30.2%と、賛成派は計9割近くに上りました。一方、「反対」は2.7%、「良い点はあるが、基本的に反対」は4.4%と、反対派は計1割弱にとどまりました。


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(民事裁判をIT化することのメリットは、何でしょうか?(3つまで選択可))

民事裁判手続きIT化のメリットを尋ねると、「遠方の裁判所への出頭労力が削減される」が90.1%と最も多く、次いで「紙媒体の書面や証拠の準備、持参や郵送の費用・時間・労力が削減される」が83.0%との順に。 他方、「本人訴訟の際の市民の司法アクセスが改善される」は4.4%にとどまり、「2割司法と呼ばれる市民の司法アクセス問題と解消と、裁判のIT化を結び付けて考える弁護士は少数派」(同調査)であることがわかりました。

裁判所の情報セキュリティへの懸念点については、「データ送達時に誤送信する可能性がある」と「機密情報が保たれるかどうか不安」が同率の1位(各46.2%)。2位は「被告などへのなりすましが横行する可能性がある」(35.2%)、3位は「書証の電子データを原本にすることで、不正改ざんなどの不安がある」(33.5%)でした。

回答者からは、「(データを)送ったか送ってないかでトラブルになりそう」「裁判所(もシステム)へのハッキング」「天災や人災によるデータの消失」などを懸念する声が寄せられました。

【出典】民事裁判IT化、弁護士の8割超がコスト削減に期待。弁護士ドットコムが調査を実施

【出典】裁判IT化 4割以上が「非弁行為の横行」に懸念【民事裁判手続IT化アンケートvol.2】

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「民事裁判IT化」のメリット、デメリットとは?—弁護士を対象に調査