杉咲花がヒロインを務める連続テレビ小説「おちょやん」(毎週月~土曜朝8:00-8:15ほか、NHK総合ほか※土曜は一週間の振り返り)。4月26日5月1日に放送された第21週「竹井千代と申します」と、5月3日~8日に放送された第22週「うちの大切な家族だす」で、独特の存在感を示したのが“編成の四ノ宮さん”こと四ノ宮一雄を演じる久保田悠来だ。

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■“手のひらがクルクル高速回転”する編成部員・四ノ宮とは

四ノ宮は、竹井千代(杉咲)復活の契機となったラジオドラマ「お父さんはお人好し」を担当するNHKの編成部員。花車当郎(塚地武雅)や脚本家の長澤誠(生瀬勝久)が、お母ちゃん役に竹井千代を推すなか、最後まで人気女優・箕輪悦子(天海祐希)を推していた前髪長めのキャラクターだ。

場の空気を読むのが得意なのか、四ノ宮はクールな佇まいを崩さぬまま、周囲が戸惑うほどサラリと意見を変えるタイプで、たとえば千代の起用がうまくハマれば「僕が最初から思っていたとおり!」と喜び、千代にトラブルが起これば「だから言ったじゃないですかぁ!」と嘆く。

その変わり身の早さと悪びれなさに、5月5日には「四ノ宮さん」で初のTwitterトレンド入りを果たした四ノ宮。だが、翌6日には、受験を控えて俳優活動をやめさせられそうになった五女・静子役(藤川心優)が家出したため、放送局まで探しにきた彼女の両親に、意外にも「…もったいないと思います」と直言。一瞬だけ視聴者の株を上げた。

しかし、静子が無事に続投することになると、家出先となって彼女を受け止めた千代とのやりとりも知らぬまま、「やはり、僕のおかげでしょうかね」と笑顔で挙手。静子にスルーされたため、視聴者からの評価は再び愛ある大暴落を遂げ、「四ノ宮さん」は2日連続のトレンド入りを果たした。

これらの言動に対し、演じる久保田もTwitterで「四ノ宮さんの手のひらはクルクル高速回転でしたね。手首と感情が柔軟で何よりです。さあ推し変なるか」(4日)、「手のひらクルクル高速回転ここに極めり。手首の稼動域は前人未到の段階へ」(5日)と総括。

6日には「四ノ宮さんが今日も四ノ宮しましたね」とついに動詞化に至り、「そういうとこだぞ四ノ宮。でも今日ばかりは少し褒めてあげて下さい。褒めたら伸びる子だと思います。前髪が」と独特なセンスでイジり倒した。

同日、トレンド入りを果たした際には「トレンディー四ノ宮さん!」と祝福し、「四ノ宮さんのおかげで若者の『だから言ったんですよ僕は!』離れが進むといいですね」と話を大きく広げていた。

■高いアクションスキルと、予想のつかないトークも魅力

そんな久保田は、「おちょやん」公式ツイッターにも「とってもええお声だす。。」と言われる渋いボイスが魅力の39歳で、2002年、読者モデルをきっかけに芸能界入り、2007年に俳優デビューした実力派だ。

ミュージカル『テニスの王子様』」の跡部景吾役(2008年~2010年)、舞台「戦国BASARA」の伊達政宗役(2009年~20013年)、「仮面ライダー鎧武」(2013年~/テレビ朝日系)の呉島貴虎仮面ライダー斬月役など、観客や視聴者に強い印象を残したキャラクターも多く、彼が登場すると「メロン兄さん(※メロンで変身し、弟がいた呉島貴虎のこと)来た!」などと呼ばれることもしばしば。

そのいっぽうで、刑事(「警部補・杉山真太郎~吉祥寺署事件ファイル」「シグナル 長期未解決事件捜査班」など)や秘書(「モンテ・クリスト伯ー華麗なる復讐ー」「TWO WEEKS」など)、はたまた犯罪者役や死体役など、いぶし銀のような存在感で画面に溶け込み、「どこかで見たことあるなーと思って調べたら斬月の人だった!」などと反応されることも。

“四ノ宮さん”からは想像もつかないが、久保田は殺陣やアクションも特技レベルで上手く、映画「アサシン」(2011年/主演)や、エージェントを演じた「コードネームミラージュ」(2017年/テレビ東京系)、舞台「『GANTZ:L』-ACT&ACTION STAGE-」(2018年/和泉紫音役)や「PSYCHO-PASS サイコパス Chapter1―犯罪係数―」(2019年/主演・狡噛慎也役)などで、そのポテンシャルを発揮している。

また、サッカーW杯南アフリカ大会をフラリと見に行くほど「旅」と「サッカー」を愛する久保田Jリーグでは地元・平塚の湘南ベルマーレを応援し、湘南リビング新聞社のベルサポ広報室・室長というキャリアも。また、前述の「PSYCHO-PASS サイコパス Chapter1―犯罪係数―」の予告PVを監督として演出、YouTubeチャンネルも持つなど活躍の幅を広げている。

役者としてはその存在感を如何様にも操る久保田だが、Twitterの言葉選びでも分かるとおり、一筋縄ではいかないユニークさを持っている本人の感性も魅力。映画の舞台挨拶などでもクールな表情のまま場内の笑いをかっさらうことが多く、そのクレバーさは下ネタすら“分かる人には分かる”レベルに昇華し、上品さを感じさせるほど。

以前、インタビューで「下積みの長さ」を強みに語っていた久保田5月13日(木)スタートのMBSドラマ特区「ラブファントム」(MBSほか)にも深見佑役で出演する。来月6月15日には40歳の誕生日を迎える彼の今後に期待したい。

「おちょやん」で“編成の四ノ宮さん”こと四ノ宮一雄を演じる久保田悠来/(C)NHK